就業規則を見直すタイミングとは?法改正だけではない、4つのチェックポイント

就業規則は、何年ごとに見直せばよいのでしょうか。

就業規則は、何年ごとに定期的に見直さなければならないという決まりはありません。

労働基準法では、常時10人以上の労働者を使用する事業場に就業規則の作成・届出を義務付けており、作成した就業規則を変更した場合も届出が必要とされています。
一方で、「何年ごとに見直す」という規定は置かれていません。

では、就業規則はいつ見直せばよいのでしょうか。

目次

就業規則を見直したい4つのタイミング

法改正があったとき

まずは、基本となるのが法改正です。
労働関係の法律が改正された場合、現在の就業規則の内容が法改正後の制度に対応しているか確認します。

近年の主な法改正のうち、就業規則の改定が必要となる代表的なものは以下のとおりです。

2025年施行
育児・介護休業法
子の看護休暇の見直し、柔軟な働き方を実現するための措置等

2026年施行
労働施策総合推進法
カスタマーハラスメント対策、求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策等の義務化

法改正があった部分の就業規則の修正を行うことはもちろんですが、法改正の内容によっては労使協定、その他の関連規程、社内周知文、手続き書類の整備等も併せて必要なケースがあるため、法改正の内容を正確に理解し、対応をすることも必要です。

就業規則と実際の運用にズレがあるとき

就業規則と実際の職場で行われていることが一致していない場合です。

たとえば、就業規則では残業について事前申請・承認を必要としているのに、実際には従業員が申請せずに残業し、会社もそれを把握している。
あるいは、時差出勤や短時間勤務について一定の基準を定めているものの、実際にはその基準とは異なる働き方を個別に認めている。このような状態です。

もちろん、実際の運用が規則と違っているからといって、すぐに「就業規則が間違っている」とは限りません。
会社として本来守るべきルールが守られていないのであれば、まず運用を改善する必要がある場合もあります。

一方で、「今の会社では、このルールをそのまま運用することが現実的なのか」を考えたほうがよいケースもあります。

たとえば、働き方が変わり、以前は必要だったルールが現在の職場では実態に合わなくなっていることもあります。
大切なのは、規則と現場のどちらか一方を無理に合わせることではありません。

会社としてどのような働き方をしていきたいのかを整理したうえで、必要であればルールと運用の両方を見直すことです。

従業員との間で労務トラブルが起きたとき

従業員との間でトラブルが起きたときも、就業規則を見直すタイミングです。

たとえば、ある規定について、
「会社はこういう意味だと思っている」
「従業員は別の意味だと考えている」
というように、解釈が分かれてしまうことがあります。

また、懲戒処分をめぐって、「その行為が懲戒の対象になるとは就業規則に書かれていない」と従業員から主張されるケースも考えられます。

重要なルールについて会社と従業員の解釈が大きく分かれてしまうのであれば、「なぜこのような認識の違いが生じたのか」を考える必要があります。

規定の書き方が曖昧だったのか。
会社からの説明が不足していたのか。
これまでの運用が人によって違っていたのか。

あるいは、そもそも会社として何をルールにしたいのかが整理されていなかったのか。

トラブルが解決したとしても、個別の問題として終わらせず、同じような認識のズレが別の従業員との間でも起こらないかを確認することが重要です。

「なぜこの規定があるのか」が分からなくなっているとき

もう一つ、見落とされやすいタイミングがあります。
それは、会社自身が「なぜこの規定があるのか」を説明できなくなっているときです。

長く会社を経営していると、昔作った規定がそのまま残っていることがあります。
当時は必要だったものの、現在の働き方には合わなくなっている。
あるいは、他社の就業規則を参考にして作ったものの、自社では実際には使っていない。

そうした規定が積み重なっていることもあります。
そして、新たな規定を次々と追加していた結果、全体の整合が取れていない可能性も考えられます。

就業規則には、会社として守ってほしい職場のルールが定められます。
だからこそ、規定を作る前に「会社として、どのような職場にしたいのか」という軸が必要になります。

制度やルールは、それ自体が目的ではありません。

会社が目指す職場を実現するための手段として、どのような制度やルールが必要なのかを考える。
この順番で考えることが、就業規則を自社に合ったものにするうえで重要です。

大切なのは、規定を増やすことではありません。

会社として目指す職場の姿を明確にしたうえで、自社にとって本当に必要なルールは何なのかを考え、ルールと制度を整え、そして実際の運用に一貫性を持たせることです。

就業規則の見直しで確認したい3つのこと

就業規則を見直す際には、次の3つを分けて確認すると整理しやすくなります。

法律上、現在の規定で問題がないか

まずは法改正などを踏まえ、現在の法律に適合しているかを確認します。
これは就業規則の基本です。

実際の運用と規定が一致しているか

次に、実際の職場でどのように運用されているかを確認します。
規定には書かれているものの実際には行われていないことや、反対に規定にはないものの慣行として行われていることがないかを確認します。

会社が目指す職場とルールが一致しているか

そして、もう一つ考えたいのが、「このルールは、会社が目指している職場に合っているか」という視点です。

法律上問題がなく、実際の運用とも一致していても会社の現在の考え方と合っていない規定があるかもしれません。
就業規則を単なる法律対応の文書にしないためには、この3つを確認することが重要です。

まとめ|「作ったまま」の就業規則になっていませんか?

就業規則には、「○年ごとに見直さなければならない」という決まりはありません。

だからこそ、年数だけを基準にするのではなく、会社や職場に変化があったとき、法改正があったとき、ルールと実際の運用にズレを感じたときに、見直すことが大切です。

特に、次のような場合には、一度見直しされることをお勧めします。

  • 法改正があったとき
  • 就業規則と実際の運用にズレがあるとき
  • 従業員との間で労務トラブルが起きたとき
  • 「なぜこの規定があるのか」が分からなくなっているとき

就業規則は、作成した時点では会社に合ったルールだったとしても、会社の規模や働き方、従業員、経営者の考え方が変われば、少しずつ実態と合わなくなることがあります。

だからこそ、何か問題が起きたときだけではなく、「今の会社に、このルールは本当に必要なのか」「会社の考え方がきちんとルールに反映されているか」という視点から、見直すことが大切です。

就業規則は、法律上の義務を満たすためだけのものではありません。

会社と従業員が同じルールを共有し、会社の考え方を伝えるためのものでもあります。

就業規則の全面的な見直しのご相談は当事務所へ

アンタングル社会保険労務士事務所では、就業規則の条文だけを見るのではなく、現在の運用や会社の考え方も確認しながら、「今の会社に合ったルールになっているか」を一緒に整理していきます。お気軽にご相談ください。

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